考察

組織関連考察②

APTX4869とは

【APTX4869の特徴】

  1. 細胞の自己破壊プログラムの偶発的な作用で、ごくまれに神経組織を除いた骨格・筋肉・内臓・体毛といったすべての細胞が幼児期の頃まで後退化する(例:実験マウス、コナン、灰原、メアリー)
  2. 投与された人間が死亡(羽田浩司ほか多数名の死亡が確認されている)
  3. 試作段階の薬。
  4. 研究所の火災事故で焼け残った資料をかき集め、灰原が復活させた。元は宮野夫妻が作った薬。17年前、羽田浩司が投与され、死亡している。尚、灰原が作らされていたのは別の薬だとされている。

作中の説明

APTX(アポトキシン)4869のアポとはアポトーシスのことを指している。

アポトーシスとはプログラム細胞死のことで、細胞は自らを殺す機構を持っていて、それを抑制するシグナルによって生存している。

APTX4869はアポトーシスを誘導するだけでなく、テロメアーゼ活性(※)も持っていて、細胞の増殖能力を高める


(※)おそらくテロメラーゼ活性のことだと思われます。

誤植なのか敢えてそうしているのかはよくわかりませんが。

APTX4869の作用については現実で専門家が取材を受けてとてもわかりやすく解説しているネット記事があります。

あと、辞書や検索した情報の受け売りですが、テロメアとテロメラーゼ、アポトーシス、プログラム細胞死について調べると、エレーナが応援した宮野博士の研究や組織の研究目的もなんとなく見えてくるのではないでしょうか。

他にも、ウイルスに感染した細胞を殺す手段の一つにアポトーシスが関係していることも注目ポイントだと思います。

コナンや灰原が風邪を引いた時に白乾児または解毒薬を飲んで元の体に戻ったことと関係あると思われます。あとはメアリーが常時風邪気味(?)なのも関係ありそうですね。

アポトーシスは非常に短時間に生じ、処理されてしまう(2〜3時間)

老化が起こる仕組みとして、細胞には寿命があって一定の回数以上は分裂することができない。その原因の一つがテロメアの短縮にあるそうで。

正常な細胞の場合、分裂が進むに従ってテロメアの短縮が進み、ある一定以上は分裂しなくなることにより老化が発生するそうなのですが、がん細胞ではテロメラーゼ活性が高くなっている。

がん細胞は元々正常だった細胞の遺伝子に変異が生じてしまったために無限に増殖する性質を持ってしまった細胞。

がん細胞が無限に増殖を繰り返すようになったのは、細胞分裂をいくら繰り返してもテロメアの短縮が起こらなくなってしまったことが原因です。

また、通常の体細胞と異なり、生殖細胞はテロメアの短縮が起こらず細胞分裂を繰り返してもテロメアの短縮は起こらない。

尚、マウスの染色体はテロメアが非常に長く、一個体の一生の間には細胞分裂が止まってしまうほどのテロメアの短縮は起こらない=細胞の寿命と個体の寿命は必ずしも一致しない(テロメアと個体の寿命の関係性が不明)ことを示しているようです。

となると。

エレーナが応援した宮野博士の研究や組織の研究目的とは?という話になるのですが、

要は健康寿命を伸ばすということではないかと思います。

学会で叩かれたというのは本来なら死ぬはずの人間が生きながらえることができるということではないでしょうか。

単に病気を治すというのならともかく、必要以上に生き延びるべきなのか?という疑問を持たれていたのではないかと予想しています。


【APTX4869解毒薬の特徴】

  1. 白乾児で幼児化状態から一時的ではあるが元の身体に戻れた事象を踏まえ、白乾児の成分を参考にして作られた解毒薬の試作品。
  2. 効果は24時間
  3. 効果が切れた後続けて摂取する場合は8時間は間を空けることが推奨される。
  4. 間を空けずに服用すると持続時間が短くなる(4時間)
  5. 連続服用でどんな副作用があるかわからない。
  6. 薬の開発データがないと完全な解毒剤は作れない。

コナンと灰原の二人は風邪を引いた状態で白乾児を飲んで、一時的に身体が元に戻りました。

再び幼児化状態になった後にコナンが白乾児を飲んでも効果がなかったことから、風邪であることが効果を発揮する前提であると考えられています。

白乾児を飲んで一時的に元の身体に戻った灰原は

「あの白乾児ってお酒、細胞の増殖速度を速めるエンハンサーの要素でも含まれているのかしら?」

24巻

と話していました。

前述の通り、ウイルスをやっつけようとする過程でのアポトーシスの働きが関係しているのだと思われますが、気になるのは灰原、コナン、メアリーの体質が変質してしまっているということですね。

変質しない場合=死亡(APTX4869投与者の中の、新一を除く死亡確認がとれている人たち)、変質する場合=幼児化(コナン、灰原、メアリー)とみてよいと思います。

たとえ普通の大人や子供がコナンや灰原と同じく風邪を引いて白乾児を飲んでも体に異変をきたすわけがないということです(※尚、繰り返しますがコナンは風邪を引いた状態で一度白乾児を飲んで元の姿に戻った後にまた幼児化し、改めて白乾児を飲みましたが元の体には戻りませんでした)

灰原は特に何も言わず(死ぬかもとは当初言っていた)解毒薬を作っているくらいなので、元の体に戻れるはずですが、メアリーの不調を考えると若返る年齢が大きいと体質が変わったことが何かリスクをもたらすのかもしれません。


宮野夫妻が結果的に作り出したのは不老の薬で、灰原が作らされていた本来の目的は若返りの薬ではないでしょうか。

「夢のような代物じゃない」と言った灰原の口ぶりとは結びつかない目的ですが、美國島の回では灰原について「永遠の若さや美貌を欲しがるタマじゃない」とコナンから評されているので、価値観で測るならさほど不自然ではありません。

もちろんそれでは根拠には乏しいです。

しかし、ベルモットのようにデメリットがあるからこその灰原の考えとも解釈できます。

78巻で有希子に対してベルモットが「結構辛いのよ?顔だけじゃなく普段から老けたフリをするのって…」とこぼしていました。

42巻でベルモットは「恨むのならこんな愚かな研究を引き継いだ貴方の両親を…」と灰原に話しています。

灰原が今は若い(本来の年齢の18歳)から永遠の若さや美貌に魅力を感じないのではなく、名前や顔を変えて別人になりすましながら未来永劫生きるのは現実的ではないため、ほんの一部の人にしか望まれないのではないでしょうか。

それだけでなく、望めば若返るような世の中であれば進化がなく、停滞してしまうかもしれません。

一方、灰原にとっては「夢のような代物ではない」、ベルモットにとっては「愚か」な研究をなぜ組織がおこなっているのかについても、考える余地があります。

78巻でエレーナがAPTX4869について「今とても恐ろしい薬を作っているの…。ラボの仲間は夢のような薬って浮かれてるけど…」と考えていたことが明かされます。

つまり、見方によって「夢のような研究」かどうかは変わるということになります。

美國島

ジン、ウォッカ、シェリーが不老不死が噂される美國島に行ったのも目的が若返りなら納得できます。

この時には代々の変装について島民から聞き出したか、あるいは灰原かジンあたりがトリックを見破ったと考えられます。

あの名簿には有力者の名前があったので、研究の出資者になりそうな人間を調べることも兼ねていたのかもしれません。

組織が秘匿性を重んじていることや、性格的に記帳しそうにないジンやウォッカ(については記帳しているのは偽名ですが)、灰原までもが記帳しているのは名簿に目を通すためではないでしょうか。

烏丸の今の状態

延命し続けて「ギネス級の長寿になっている」のではないでしょうか。

これまでも組織の人員は「あの方」と直接コンタクトをとっていることがわかっています。

現実に100歳超えは存在します。

結局は代々なりかわっていただけですが、美國島の130歳でギネスものと捉えられていました。

世間的には「死んだとされた人間がまだ生き続けている」という意味で、灰原が言っていた「ただでさえ信じがたい人物」というのにも当てはまります。

あの方と同じように長生きしているとされる人物が何者なのか調べるために、ジンたちは美國島に訪れたのだと考えられます。

追記。

FILE1090にて烏丸蓮耶らしき人物が登場。

40年前の事件

40年前、黄昏の館に学者を集めた時にはすでに延命のノウハウを持っていたか、あるいは学者殺しの後に見つけたのではないでしょうか。

黄昏の館の財宝調査は資金集めのためで、その時に財宝の秘密がわからなかったか、あるいは外壁だったので諦めて組織を立ち上げ、裏社会を暗躍するようになったのかもしれません。

事件隠蔽の痕跡もなく館も人手に渡ってますし、半ば諦めの境地だったのにその後延命して光明を見出したのではないでしょうか。

あるいは死亡を偽装するのに都合がいいので、敢えて館を残した可能性もあります。

延命については30年前に白鳩製薬に勤めていた宮野厚司が所属していた薬の開発チームの研究成果を烏丸が治験で享受していたのだと考えています。

灰原曰く、買収がうまくいかなかったようですし、秘密保持と本格的に研究を引き取るために人員引き抜きで白鳩製薬は倒産させられたのではないでしょうか。

ベルモットが宮野夫妻に関して「こんな愚かな研究を引き継いだ」という言い方をしていたのは、灰原の言う半世紀前からのプロジェクトにも期間は当てはまります。

灰原がミステリートレイン編で手にしていた薬

おそらく解毒薬ではなくAPTX4869だと思われます。

78巻で灰原が「私…わかってなかった…こんな薬作っちゃいけなかったって…」

でも…みんなを巻き添えにしないためにも…今はこれに頼るしか…」

と考えていました。

※尚、「ミステリートレイン〔交差〕」の扉絵には「APTX4869」が描かれています。

手にしていたのがAPTX4869の解毒薬なのであれば新一や自らの身体を元に戻す薬でもあるため「こんな薬作っちゃいけなかった」と考えるのは不自然です。

エレーナの遺したメッセージの続きを聞いた灰原は「毒なんて作ってるつもりなかった」過去の自身に対し、望んだわけではないとはいえ「勝手に人間に投与され、結果的に多くの人を死なせた」薬を研究所の火災事故の後で焼け残った資料を集め復活させたことについて後悔していると考えられます。

しかし、自身が生きている限り、無関係な周囲も巻き込まれて死んでしまうことを灰原は恐れていました。

灰原は周囲の人間を巻き込まないために元の身体に戻った後自ら命を絶つつもりで、あの時手にしていたのは解毒薬ではなく、APTX4869だったと考えると筋が通ります。

ピスコに捕らえられた際は死を覚悟して、覚えている範囲で薬の仕組みをコナンに伝えようとしたことや後に解毒薬を作ったことを踏まえると、コナンに用途がないから触れられなかっただけでAPTX4869を再度作ることは可能だと思われます。

灰原がAPTX4869を常備しているとすれば、万が一の可能性を常に考えていたということではないでしょうか。

爆発前のバスに残ったりするよりは他人の命を巻き込む恐れもなく、死因もわからないAPTX4869は灰原にとって最後の手段として残しているものと考えられます。

「運命から逃げない」と決めたとしてもいざという時、無関係な人を巻き込むことは選ばないでしょう。

その証左として、灰原は不安ゆえに思わず蘭の服の裾を掴んでいましたが、探偵団はまだしも博士に対してすら危機を隠し、心配して追いかけようとした蘭のことは撒いています。

42巻で「たとえあなた(=ベルモット)が捕まっても、私が生きているかぎり…あなた達の追跡は途絶えそうにないから…」「そのかわり約束してくれる?私以外誰にも手をかけないって…」と話していたことと共通していて、灰原の考えは一貫しています。

組織が狙っているのは灰原の命(口封じ)なので見つけた時点で死亡していれば証拠隠滅して終わりです。

証拠隠滅の影響がどれだけの範囲に及ぶかにもよりますが、ミステリートレイン編ではベルモットが灰原にメールを送っているので、自身を除く人命が守られるのならあの時はその選択をしたというところだと思います。

銀の弾丸

エレーナがAPTX4869に願いを込めて「銀の弾丸」と呼んでいたのは服用すれば「あの方が死ぬかもしれない」と考えていたからかもしれません。

恐ろしい薬をラボの仲間は「夢のような薬」だと浮かれていたことを踏まえると、成功例だけではなく、副産物として灰原が復活させたものと同様に当時もマウスの実験結果に死亡例があって、あの方(ボス/烏丸蓮耶)を葬るために未完成品のAPTX4869(仮称)を完成品と偽って提供しようとしたのではないでしょうか。

その時薬はあの方には渡らず、実験台になったのがベルモットで、それ以降不老になったのかもしれません。

78巻でエレーナは「願いを込めてこう呼んでるわ…。シルバーブレット…銀の弾丸ってね!」「でもその薬を完成させるには父さんと母さんはあなた達とお別れしなきゃいけないの…」と考えていたことが明かされます。

宮野夫妻が亡くなった事故の経緯は研究を潰すために資料ごと燃やしてなくす気だった、あるいは完成していないことが露見した時のために取っていた策、殺人だから命をもって償うとすると筋は通ると思います。

この予想の場合において娘たちはどうなるのかということについては、トップを失った組織が成り立たなくなるから自由になるであろうと考えていたと解釈できます。

「シルバーブレット(銀の弾丸)」という言葉が何かと注目されがちですが、興味深い点は「完成」にあると考えられます。

灰原が焼け残った資料を元に復活させた未完成の薬がAPTX4869で、薬は完成していません。

96巻で灰原は両親についてぽろっと話していた際に「ラボで父と母が作らされていたのは私と工藤君の体を幼児化させた薬だったなんてね…」とまさか(阿笠や探偵団といった周囲に)言えるわけがないと考えていました。

焼け残った資料をかき集めて復活させたこと、ピスコが「まさかここまで進めていたとは」「亡くなったご両親もさぞかしお喜びだろう」と言ったことから両親と灰原が作っていた薬は目的は同じでも作り出したものが違うとわかります。

地獄に堕ちた天使(ヘル・エンジェル)

組織にとって喜ばしい研究をしていたのに謀反を企んだのでそう呼ばれるようになったのではないでしょうか。

バーボンがシェリー(に変装したキッドですが)に対して「よく似てらっしゃる」と言ったのは謀反や自己犠牲の精神の強さからだと考えられます。

組織は両親が死亡した火事は不運な事故だと明美に伝えていますが、バーボン(降谷)は故意に起こした事故だと知っているのではないでしょうか。

尚、阿笠博士や宮野厚司、出島デザイン事務所の人たちが話していたエレーナの印象は一貫していて、組織にとって彼女の人格を「エンジェル」と指していたわけではないとわかります。

両親のことは気になるが、冷めきっていた態度をとっていた灰原をあくまでフォローするためにカセットテープの内容を指してコナンが「正真正銘のエンジェル」と表現しているに過ぎません。

※SDB(BLACK+)でもエレーナは人見知りで口下手であるとされています。

では、どうしてエンジェルと呼ばれていたのか。

エンジェルとは?

板倉との会話の中でベルモットが「我々はでもあり悪魔でもある」と話していたことから、あの方(組織)の目的のために必要とされていた天使(神と人との仲介をつとめるための使者)だったということではないでしょうか。

それが結果的には組織を裏切ったことによって「地獄に堕ちた天使」=堕天使(もとは天使であったが神とその座の高さを競い驕慢の故に天上を追われた)と呼ばれるようになったのではないでしょうか。

特にラボの仲間とエレーナの薬に対する見解が異なることからも、後にそういったレッテルを貼られていた可能性はあります。

灰原が聞かされていた母親の印象も阿笠の意見を踏まえてなのか「無口で陰気」と相違がないようでした。とてもではないですが、いい印象として噂されていたわけではなさそうです。

逆に、純粋な組織の人間ではない安室(バーボン/降谷)、おそらくラムに対抗しようとしていると思われる若狭(浅香)がエレーナのことを「ヘル・エンジェル」と呼んでいるのは組織内部の見方と外部からの見方で評価が異なるのを意味していると思われます。

ベルモットがあの方のお気に入りな理由

やはり、不老になったからではないでしょうか。

バーボンが握っているベルモットの秘密

不老に関係があって、ベルモットに対して言いかけたのは「まさかあなたがボスの身代わりに被験者になった」ではないでしょうか。

ベルモットからバーボンが潜入者だと知られない上に、ベルモットが隠したがる妥当な理由がこれしか思いつきませんでした。

「自分が消息を断ったら組織内にリークする手筈になっている」と脅しているため、ベルモットから見れば「バーボンは組織でのしあがりたくて自分を利用している」くらいにしか解釈できないと考えられます。

ベルモットがボスの娘と仮定した場合

シャロンがゴールデンアップルで脚光を浴びたのが20年前で、現在と同じ29歳の容姿。

30年前にベルモットが白鳩製薬の研究成果で老化しなくなったと考えると灰原に対する「愚かな研究を引き継いだ」という言葉もごく自然なのですが、いくらなんでも高齢の烏丸に若い子供がいるというのは不自然(若い頃に兼ねてより準備していた試験管ベビーでもない限り)

もしも若返りが研究目的且つベルモットが一度若返っていた場合、すでに薬は完成していることになり、宮野夫妻を組織に引き入れる理由がなくなります。

幼児化

ベルモットは安全策としてバーボンと取引をしているだけではないでしょうか。

なぜならAPTX4869服用による幼児化については組織に隠しているからです。

「ドジと疑惑」(99巻)で、安室は羽田浩司を手にかけた人物が誰なのか知らない、つまり17年前の事件への組織の関与(APTX4869の使用)について把握していないことが判明しています。

一方で、安室は眠りの小五郎のトリックを看破しているようです。

「いや、俄然、興味が湧いてきましたよ…。眠りの小五郎という探偵にね…」

78巻

以下の様子から公安も組織同様に幼児化を把握していないと思われます。

  • コナンが何者なのか気づいている描写が今のところない(優作とコナンの関係について気がついていない)
  • 灰原を気にしているもののはっきり顔を見ていないせいか宮野志保だと気がついていない(片目しか見えないとはいえ、はっきり視認しているはずの黒田も気がついていない)

ベルモットやピスコのように研究目的あるいは過程を知っていて、尚且つ幼児期の顔を知っていて幼児化した姿を見ない限りは推理することも難しいのだと考えられます(瑛祐や服部の例はともかく)

APTX4869の使用

17年前の羽田浩司とアマンダ・ヒューズ死亡事件はさておき、工藤新一の調査をラムから命じられている安室は新一に対するAPTX4869の使用について把握しているとみてよいと思います。

蘭は修学旅行先で事件を解決したのが新一だと認めているので、死亡確認の情報は覆されました(95巻)

「蘭さんの修学旅行も事件続きで大変だったそうじゃないですか…。まぁ、同級生の工藤新一君の活躍で無事に解決したようですが…」

「はぁ、まあ…

「で? その後彼は…?

「あ、すみません…。新一のことはあまり口外するなと先生に言われているので…」

95巻

安室がラムからのメールの内容についてなかなか返答をしていなかったことを踏まえると、生存については隠しているかもしれません。

しかし、ラムは優作の調査をベルモットに命じているので、いずれ幼児化の可能性に辿り着くのではないでしょうか。


「サンドイッチを運ぶ途中で、知人から電話があってね…」

95巻

95巻で安室が探偵事務所を訪ねた時に言っていた「知人から電話があった」というのがまったくの作り話ではない場合、相手は黒田だと考えられます。

95巻「濃紅の予兆」で、工藤新一が事件を解決したという噂のSNSを見て、黒田は反応を示しています。

脇田と同時期に情報を確認しているため、黒田は黒田でラムのバーボンへの要請に関係なく工藤新一に関心があることになります。

ラムはメール、黒田は電話連絡で双方が工藤新一の調査を命じているのではないでしょうか。

電話に対しては答える、メールの返答はなかなかせずに焦りはありつつも内心おざなりで「はいはい…わかってますよ…」と考えているところに違いが現れています。

安室はラムから一度目の工藤新一調査要請メールを受け取った時、すでに工藤新一に関心を持っていたというのであればその時の表情にも納得がいきます。

「了…解…」

95巻

この時にはすでにラムは脇田として「米花いろは寿司」に勤務し、小五郎に接触しているので安室といつ出会うかわからない状態にしておくことはないと考えられます。→関連考察

したがってNo.2とコンタクトを取れたことで意気込んでいたとは考えにくいです。

「やはりそうくるか…」と考えていたと解釈すれば後の行動も自然ではないでしょうか。

96巻の「女性警察官連続殺人事件」ではコナンがポアロを出て行った後に梓と話しながらメール送信と思われる作業をしています。

同じく96巻の「『ミケ』じゃなくて」では後日、「言われた通り僕が提供できる情報は全てあの少年に伝えました」と黒田に電話で報告しています。

つまり、上記二つの行動は別の案件で、前者はラムからの要請への何らかの返答であると考えられます。

しかも報告を受けた黒田から「それより、例の件はどうなってる?」と話を切り出しています。

頭に「それより」がついていて、事件については「大事の前だ…。余計な火(=未解決事件)は消しておくに越したことはないからな…」と言っていることを踏まえると、重視しているのは別件ということになります。

ジンも後のFBI連続殺害事件の際に「大事の前」と口にしていることから、組織の行動については安室から黒田へ逐一報告していると考えられます。

黒田が尋ねている「例の件」とは

ラムから送られてきた工藤新一調査の要請メールの返答についての進捗を聞いている

という見方が妥当です。

黒田は目撃者の気のせいだという報告のSNS情報を確認し、口元に笑みを浮かべていました。

しかし、安室はカマをかけたのか蘭に修学旅行の一件を尋ねて新一生存を確認しています。

安室が「まだ何も…」と答え、優作たちを思い浮かべたのは「本当は工藤邸に侵入して裏をとるはずだったが、まだとれていない」ということを意味していると解釈できます。

つまり、工藤新一の死亡確認についてはすでに覆されていているのにそれを黒田に隠していることを指しているのではないでしょうか。

蘭が新一生存を実質認めているので、優作たちがよほど上手く説明しない限りはごまかすことはできないと思われますが、そのあたりについては安室は答えが出ずに板挟み状態なのかもしれません。

97巻でババ抜きが得意な小五郎に対する安室の褒め言葉を逆手にとって、脇田は「外れ目がわかる目なんて物があるならアッシにも分けてもらいてぇぐらいですね…」「自分を謀る裏切り者がわかるじゃないですか…」「鮮度の落ちた魚を高値で売りつける仲卸とかねぇ…」と言っています。

それに対し安室は「さすが寿司職人!」とおだてて脇田もそれに乗っていますが、非常に危ういやりとりであることがわかります。

脇田は組織のNo.2であり、本職があるかは不明ですが少なくとも流れ板ではない可能性が高いです。

「鮮度の落ちた魚を高値で売りつける仲卸」がものの例えということであれば「情報が遅いから疑っている」と小五郎の前で牽制していることになります。

小五郎はただ単に疑問に思ったので「アンタまだ目の出来物が治んねぇのかよ?」と聞いていますが、眼帯の下を「見てみやす?」という脇田の試しには遠慮して乗りませんでした。

一方、安室は依頼の内容について小五郎に話を振るのですが、脇田は小五郎あるいは安室も含めてなのか窺うような鋭い視線を向けています。

※尚、仕込みの手伝いはしているようですが、ものもらいと眼帯が理由で板場には立っていません。

そのため、寿司職人としての技量があるかはとりあえず考える必要はありません。

小五郎が違和感を覚える程度には日数が経過しているようですが、眼帯の下はものもらいではなく義眼なため、いろは寿司にはそう長居するつもりではないと考えられます。


安室のスマホの着信の違い

  • 94巻「ストラップを探せ!」では風見からの電話:着信音あり
  • 95巻「ホラ♡」「あの女性の記憶」ではメール着信:マナーモード

尚、操作音については漫画的わかりやすさもあってか擬音で「ピッ」と表現されていますが、着信音については意図的に使い分けがされていると思われます。

95巻「『ミケ』じゃなくて」では、つい先ほどまで捕らえられていた苗子の携帯にマナーモードで電話着信が入っています。

他のキャラクターもメールはマナーモードで表現されています。

公安と組織

根拠のない想像ですが、公安は白鳩製薬の倒産に関係している烏丸グループを捜査していたのではないでしょうか。

そして、18年前に黒田は宮野夫妻が事故死した火事の現場にいて火傷を負い、片目が義眼なのかもしれません。

→訂正追記。黒田は17年前に組織から追われていた浅香を助ける際、交通事故に遭い、乗っていた車が爆破炎上したことが理由で火傷を負ったと判明。

灰原は焼け残った資料をかき集めてAPTX4869を復活させています。

公安は焼ける前後に得ていた情報でベルモットが何らかの薬を服用した(と思われる)ことを知っているのではないでしょうか。

→訂正追記。依然情報入手方法は不明なままですが、バーボンとしての調査がうまくいって組織潜入後に知った可能性の方が有力になりました。その点はSDBのQ&Aと概ね相違ないことになります。

SDB(BLACK+)より

Q82.「バーボンは秘密主義のベルモットの秘密をどうやって知ったんですか? その秘密はベルモットの見た目が20年前変わらない事と関係ありますか?」

A.「ゼロだからうまい事探ったんじゃないかなぁ。」

秘密(情報)は公安で保管されているので安室は「あなたの秘密は厳重に保管してありますから…」と言っていると考えられます。

78巻のベルツリー急行で安室はシェリー(の姿のキッド)に対し、「生きたまま組織に連れ戻す」という言い方をしています。

ベルモットはジンにバーボンがシェリーを発見したこと、シェリーがベルツリー急行に乗る予定があることをリークして、名古屋駅のホームに設置するための爆弾をウォッカから分けてもらい、貨物車内にその爆弾を用意して連結部分が破壊された後、起爆装置を使ってバーボンによるシェリー殺害を仕向けようとしていました。

ウォッカは「バーボンとベルモットはどうやって列車から脱出するのか」とジンに尋ねますが、ジンは「俺の知ったことか」と無関心で、シェリーについても列車が到着するまでの生死については問わず、ベルモットが始末すると考えていました。

そのため、ウォッカから話を聞かされて爆弾を分けて貰ったベルモットに対して「まさかあの女…」と女同士仏心があるのではないかと再び疑いの目を向けていたわけです。

結局、ベルモットはシェリーの乗った貨物車の爆発を「バーボンが確認した」と告げたためにその疑いは晴れました。

ジンにとっては自ら組織(ベルモット)にシェリー発見の情報をもたらしたバーボンを疑う理由がなかったわけです。

しかし、安室はベルモットがやって来たと思って堂々と「悪いが彼女は僕が連れて…」と言っています。

つまり、名古屋駅で待っていたジンの考えと違って組織の仲間がヘリで追跡していたのはバーボンの独断ということになります。

安室はベルモットの行動について「是が非でも彼女の命を断ちたいという腹積もりか…」と考えていました。

頭に「なるほど」とついているので、ベルモット個人の意向であると考えていたことがわかります。

本当にシェリーを組織に連れ戻すつもりだった場合、安室がベルモットの秘密を握っていることを材料に、独断で交渉するつもりだったのかもしれません。

SDBにて、ヘリで迎えにきたのは組織の仲間と確定しているため、独断専行と評されるバーボンに協力者がいる理由、ジンやウォッカといった幹部を出し抜くことができるのか、できるとすれば一体どうしてなのか考える必要があります。

思いつく可能性を2点挙げます。

  • 組織に生きて連れ戻すが、実際はバーボンが始末したと見せかけるつもりだった

まずはバーボンがシェリー(※実際は宮野志保に扮した怪盗キッドでしたが)に話したことについて検証します。

「ご心配なく…。僕は君を生きたまま組織に連れ戻すつもりですから…。爆弾でこの連結部分を破壊して…その貨物車だけを切り離し…止まり次第…ヘリでこの列車を追跡している仲間が君を回収するという段取りです…。その間、君には少々気絶をしてもらいますけどね…」(78巻)

前述の通り、バーボンが言っていた「ヘリの仲間」とは「組織の仲間」のことです。

Q4. ミステリートレインで宮野志保に「ヘリで追跡している仲間が君を回収する段取り」と言っていましたが、仲間って公安ですか? その場合、ベルモットをどうやって誤魔化す算段だったのか気になります…!

A.黒ずくめの仲間なんで、誤魔化す必要はないよ。

SDB(BLACK+)

組織は離反者であるシェリーについては組織(薬の研究)に関する情報が漏れないよう口封じをしようと何度もその命を狙っています(ピスコ、ジン、ウォッカ ※事情が違うため、ベルモットについては除外)

「誤魔化す必要はない」というコメントだけ見ると「手柄のため?」と推測できるのですが、一つ盲点があるのかもしれません。

黒ずくめの組織図について

首領烏丸蓮耶
側近(No.2)ラム
メンバージン、ベルモット、バーボン、キール、ウォッカ、ピスコ、テキーラ、キャンティ、コルン、カルバドス
末端構成員宮野明美、楠田陸道、沼淵己一郎
その他(研究部門)シェリー、宮野厚司、宮野エレーナ

上記の表はSDB(BLACK+)に記載されている組織図の内容をまとめたものです。

※未読の方への補足としては実際の図はトライアングルで、頂点が「あの方」で一番下が「末端構成員」であることくらいです(研究部門はトライアングル外に記載されています)

●組織図からわかること

  • 「メンバー」とはいわゆる「コードネーム」を与えられている組織の「幹部」のことですが、いずれも同列であるとわかります。
  • シェリーに関しては「実行部隊」ではないため、研究部門に分類されていると思われます。
  • 厳密に言うと、武力を用いる作戦には「探り屋」であるバーボンは今のところ参加していませんが、分類上「メンバー」に含まれているのは内勤か外勤かの区分けだと考えられます。

尚、組織図でわかる通り、側近のラムだけは同じコードネーム持ちでも扱いが異なります。

Q93 羽田浩司の事件でRUMが「ぬかった」事は、重大なミスですか? だとしたら、なぜRUMは消されていないんですか?

A No.2だから。

SDB(BLACK+)

24巻

いわゆる「黒の組織との再会」シリーズの

「白の世界」にて呑口議員暗殺の証拠となる写真を会場に居合わせた週刊誌記者に偶然撮影されてしまったピスコは「あの方に長年仕えた」身でありながら、あの方の命令を直々に受けたジンによって処刑(射殺)されてしまいます。

「そ、それにあの方に長年仕えた私を殺すとおまえの立場も…」

「悪いな…。これはついさっき受けたあの方直々の命令だ…」

24巻
  • ※ピスコこと枡山憲三は71歳
  • コナンに「おっと。経済界の大物まで来てる…」と評されていた
  • 灰原に「君の御両親(宮野夫妻)と私はとても親しくてね…」と話していた
  • ジンには「組織の力を借りてここまでのし上がったんだ…。もう十分いい夢は見ただろ?」と言われる

ピスコと比較すると、No.2のラムが別格の扱いであることは明白です。

尚、ピスコは前述の通り「71歳」で、年齢を詐称していない限り、ラム(脇田)は「56歳」です。

未成年のシェリーがかつて重要視されていたように、組織においては年功序列ではなく、実力主義または成果主義であることがわかります。

ただし、致命的なミスに対して例外的な許しを受けられるのはラム、あるいは今後No.2になり得る人物だけではないでしょうか。

(質問コーナーより抜粋)

Q17「テキーラやピスコ、カルバドスの死亡後、そのコードネームは別の人が襲名しているんでしょうか? 永久欠番みたく、その人のものとして固定されるんでしょうか。

A「それは言えないな。

SDB(BLACK+)

上記のQ&Aを踏まえた上で、改めてラムについて考えると、ラムがまさに襲名した人物ではないでしょうか。

烏丸は「半世紀前」から秘密プロジェクトを進めるために組織の立ち上げをしています。

年齢的にラムが子供の頃から組織に所属していてその時点からコードネーム持ちというのは無理があります。

順当に考えれば、ラムは誰かの空いたポストに転がり込むほど(ピスコよりも若く、少なくとも17年前には)の実力者であるとわかります。

しかし、そう考えるとラムもうかうかしていられないのではないでしょうか。

実力次第では、No.2と現在のコードネーム持ちの幹部との勢力図が変わる可能性があります。

気になる点

  • 「霊魂探偵殺害事件」で、ジンが「17年前にラムがぬかった殺しなんざ知った事か…」と言った
  • 「FBI連続殺害事件」でラムを褒めたウォッカに対して「いちいち褒めるな…」と言っていた

あの方(組織)へ忠義の厚いジンはその位置を狙う可能性は充分あると思われます。

今後の展開次第だとラムではなく、ジンがNo.2ということもあるかもしれません。

(質問コーナーより抜粋)

Q42「ジンは組織の中で係長くらいですか?」

A「もっと、大分上だと思うよ。」

SDB(BLACK+)

Q50「組織の幹部内での地位は、どれくらいはっきりしているのでしょうか…? ジンは実際ボスから数えてどれくらいの地位なんでしょう?」

A「それ聞いちゃう?」

SDB(BLACK+)

つまり、組織の幹部の序列について詳しく言えなかったのは状況によっては変動する可能性があるものだからだと思われます(=その時々によるものだから断言できない)

※もし仮にそれを聞いてしまうと風情がない(はっきりさせるとジンのキャラ的につまらない、幹部でしょ?)という意味であれば、一般的な管理職に例えた質問のところで「もっと上」と回答することとやや矛盾してしまいます。

→追記。

FILE1106にて17年前、生前のアマンダ・ヒューズの口からラムに対し、

「50年ぐらい前に会った事があるわよね? 日本の大富豪の誕生パーティーで…」「貴方はまだ子供だったけど…確か妙なアダ名で呼ばれていたわ…」「”ラム”…だったかしら?」

という発言あり。

そのため、上記のラムに関する推測は外れます。

どうやら子供の頃から組織に所属していて、その時点からコードネーム持ちであったと発覚しました。

そうなると、ジンなども含め、組織立ち上げ時に子供の頃から人員を育てていた可能性が浮上しました。

前置きが長くなってしまいましたが、

一応、公式本(SDBなど)では(かいつまんで言うと)ミステリートレインでバーボンが動いていたのは組織内でのし上がるためだと解説されています。

もしコードネームが襲名制なのであれば、のし上がるためというのも一つの手です。

しかし、バーボン(安室透/降谷零)は公安であり、警察官なのでいくら場合によって超法規的な手段を用いることがあっても進んで殺人を犯す可能性は低いと思われます。

加えて「生きたまま連れ戻す」とはっきり説明しています。

この点が盲点だと考えられるところです。

では、どうしてシェリーを探していたのでしょうか。

改めて明確にしておきたいのは「バーボンはシェリー探しを組織内で公言している」という点です。

※安室初登場シリーズから公安設定が追加されたとはいえ、矛盾のないように構成しているという前提に考察します。

根拠

①バーボンがシェリー捜しに動き出したという情報をキールが掴む。

60巻のコナンとジョディのやりとりにてキールからFBIへ

「組織の新しいメンバーが動き出した…。情報収集及び観察力・洞察力に恐ろしく長けた探り屋で、コードネームはバーボン…気をつけて…」

60巻

と伝えられたことが判明します。

この時は短い電話だったため、聞いた内容から標的はシェリーだとジョディが推測した上で、FBIが表立って警護に回れないため、灰原の周辺にいるコナンに電話で警告します。

67巻にて後にキール自身によってジンとの会話内容から伝聞口調で改めて触れられています。

「ねぇ、彼はこの事知ってるの?」

「彼…。誰の事だ?」

「バーボンよ…。組織を裏切ったシェリーっていう科学者捜しに動き出したって聞いたけど…」

「さあな…。ベルモットと同じく奴も秘密主義者…。どこで何をやっているかわからねぇよ…」

67巻「吹雪の中の真実」

他にも、ウォッカも交えたジンとのやりとりで

「まあ、奴の居場所がわかっていても知らせるつもりはなかったが…」

67巻「吹雪の中の真実」

と話しています。

上記やりとりで中心になっている話題はFBI捜査官の生存についてですが、バーボンの行動についてジンたちも特に驚いた反応がないので、シェリー探しについてはすでに聞き及んでいる可能性が高いということになります。

もしもまったく知らないのであれば、キールは誰から聞いたのかという話になってしまうことと、そもそもシェリー脱走後、シェリーの口封じをしなければならないという組織員の共通認識があると考えるのが自然です。

たとえ、聞いていなくてもこの時点でキールが話しているので結局同じことになります。

※尚、キールの言う「この事」とは「始末したはずのFBIの目撃情報」のことです。

ジンはバーボンに知らせる気がなかったが、そもそもFBI捜査官に成りすまして他のFBI捜査官をバーボンが泳がしていたら組織までもが引っ掛かったという経緯。
この時点ではバーボンは純粋な組織員の設定で、FBIを泳がせる作戦についてはあの方の了承をとって動いています(後ほどベルモットからジンへと伝えられている)

あの方の許しは受けているのか?」

「ええ…ボスは慎重居士…石橋を叩き過ぎて壊しちゃうタイプだから…」

67巻「静かなる戦い」

②ミステリートレイン編において、ベルモットはジンに「シェリーが群馬の山奥に隠れ住んでいたこと」や「ミステリートレイン(ベルツリー急行)に乗車する予定」という情報を掴んだことをバーボンから聞いてジンにリークしました(78巻)

「ミステリートレイン? ベルツリー急行か…。あんな目立つふざけた列車にシェリーが乗るとは思えんが…」

「あら…だからこそのあえての選択なんじゃない? あの列車の客車は全て完全個室…。組織の目を盗んで関東から脱出するには絶好の移動手段だと思うけど?」

「だが、どうにも信じられんな…。シェリーが群馬の山奥に隠れ住んでいたとは…」

「ええ…その情報を入手したバーボンも同意見よ…。彼女が偶然接触した第三者にそう言っていただけだから確度は低いと…。でも、シェリーがその列車に乗るのなら狩り場としては最適だと思わない?」

「ああ…。途中下車さえ阻めば走る鋼の牢獄だ…。鹿狩りの如く恐怖で追い立ててやれば、自ら銃口の前にその身を晒すだろうよ…」

「わざわざ貴方にこの情報をリークした理由、わかるわよね?」

78巻「ミステリートレイン〔発車〕」

二元シリーズでわかるように、ベルモットは幼児化に気づき、秘密裏にシェリーを殺害したいと考えていました(42巻)

コナンには「シェリーは諦めてあげる…」と伝えましたが、バーボンにシェリーを発見されたことを知って、このままだと幼児化が発覚する恐れがあり、爆弾を調達するために「ジンにリークせざるを得なかった」という背景があります。

③バーボンの方からシェリー捜しについてベルモットへ話を持ちかけていた。

「ええ…事件は解決しましたよ…。毛利名探偵のお陰でね…」

「あら、そう…。ところでいつまであの探偵とつるむ気なの? キールの一件でシェリーとかかわっている疑いのあるあの探偵に張り付きたいって貴方が言うから色々サポートしてあげたけど…。もう用はないんじゃない? 幸運にも偶然シェリーの情報が舞い込んできて…そのシェリーも葬る事ができたんだから…」

78巻「謎解きの鍵」

尚、ベルモットがサポートしたこととは、この時点までだと

  • FBIへの変装(デパートジャック事件、銀行強盗事件、ミステリートレイン編)
  • 世良へFBI死亡について言質を取る

の2点です。

以上のことから、組織内では「バーボンがシェリーを探していた」というのは共通認識ということになります。

結果的にバーボンがシェリーの死亡(貨物車の爆破)を確認したとジンの耳にも入ったので、より確定的になっています。

バーボンは公安としての立場もありますが、生きたまま組織にシェリーを連れ戻したところで、処刑されてしまうのがオチです。

もし仮にのし上がりたいためだけなら、ジンやベルモットのように問答無用で処刑するのが単純で、面倒な手順も発生しません。

実際、ピスコはその場(酒蔵)でシェリー(灰原)を射殺しようとしていましたし、回りくどい「ヘリで回収」は本来必要ありません。

では、どうしてそんな作戦を立てたのかということですが、前述したようにバーボンがシェリーに話した 【気絶】という言葉とSDBの【A.「黒ずくめの仲間なんで、誤魔化す必要はないよ。】という箇所が重要かと思われます。

ただ始末するだけだと、みすみすシェリーを死なせたら公安としては重要な証人を失うというデメリットがあります。

※公安側がどこまで認識しているかによりますが、読者視点では「シェリーは半世紀前からの秘密プロジェクトについて知る人物」であることがわかっています。

つまり、公安は「シェリーを生存させるメリットがある」ということです。

少なくとも組織に反抗し、脱走する意思のあった人物であれば事情聴取できる確率が高いため、必要でしょう。

作戦?

  • ヘリで回収するまでに一時的に気絶させ、組織側に始末(死亡)したと見せかける。
  • その後はシェリーを逃した上で、公安で身柄を預かる。

目的?

作戦が回りくどいのは組織の追手からシェリーを逃すには、一旦は捕まえないといけないためかもしれません。

組織が探す限り(シェリーと接触したいのであれば)公安側もスコッチ以外の潜入者について露見するリスクがあるので、確実性を取りたい。

一旦シェリーを戻さないといけないため、ベルモットだけでなく、ジンやあの方(ラムも)を騙さないといけないので、バーボンにとっては非常にリスクの高い作戦ではありますが、可能性の一つとしてはシンプルかつ自然です。

しかし、ヘリにいた仲間だけ欺くならだいぶリスクは低くなりそうですね。

だとすると「気絶」というのはより限定的、ほんの一時的な作戦ために必要だったのかもしれません。

ただし、ヘリにいる仲間が確実に信用できない限り、逆にリスクは高くなります。

安室は探偵としてベルツリー急行に乗車しているため、当初の計画通りなら途中下車してヘリに同乗していた可能性は低いです。

爆弾を用意したのはベルモットの独断であり、安室にとっては計算外でした。

そのままシェリーに対して自分についてくるよう求めていたため、別の作戦で動いているジンとはいずれ対立する形になってしまいます。

となると、上記の可能性(騙し打ちの作戦)はぐっと低くなります。

次はもう一つの可能性について。

  • 組織内で内紛が起きている、あるいは派閥がある

シェリー(宮野志保/灰原哀)は組織の中でも有数の頭脳と高く評価されていました。

処刑するかどうかを上が決定する前にシェリーは自殺を図り、結果的に幼児化して逃げ出した後は何度か命を狙われていますが、実行部隊とあの方の意思しか感じられません。

まず前提として、シェリーは組織にとって重要な人間だったことは確かです。

そうでもなければシェリーが「薬の研究を中断する」という対抗手段をとっている(取引ができる=他に人材がいない)ことや上が処分を下す前まで時間的猶予があったことの説明がつきません。

「僕の消息が絶たれた場合、あなたの秘密は組織内にリークされる手筈になっている」というのが全くのハッタリではない場合、組織内の研究畑の人間は組織に愛想が尽きている可能性も考えられます。

思いつくことを挙げます。

  • あの方やそのほかの幹部はシェリーがいなくとも時間をかければ研究が続けられると考えている。
  • 研究者はシェリーがいないと無理だと考えている。

※18年前宮野夫妻が死亡した後、薬を復活させた人間が現在はいません。

灰原の命を絶とうとしたピスコさえ「ここまで進めていたとは」と感心するほどシェリーには研究の実現性があります。

ベルモットも彼女だけはこの世にいてはならないと考えており、さらに幼児化がバレる可能性を危惧し、シェリーの命を狙っていました。

灰原本人も、新一が蘭に自分の正体を打ち明けようとしていたのをやめさせようと警告した時「滞っているAPTX4869の研究を進めるため、組織に戻れば不問に付す」と条件を出されたという仮定による嘘をついていました。

口封じで全員殺される可能性の方が高いと考えてはいるものの、可能性が絶対にないとは言い切れないと思われます。

新情報が出てきたら適宜見直しますが、現段階では公安は組織をまだ泳がせておく理由があるのではないでしょうか。

もしかすると、安室(バーボン)の行動にはラムの意向と何か関係があるのかもしれません。


96巻では諸伏高明警部の元に大和警部から連絡があり、伊達が交通事故で死亡して一年間ロッカーに放置されていた高明宛の荷物を警視庁で受け取る手筈になっていました。

封筒の中にはスマートフォンが入っていて、景光(スコッチ)の遺品は兄である高明の手に渡りました。

組織にスマートフォンの存在を伏せたのかスマートフォンを別のものに差し替えたのかはわかりませんが、遺品は公安で管理していたことになります。

景光が死亡したのが4〜3年前のため、スマートフォンが伊達の元に送られたのが1年前であることに何か理由があるのでしょうか。

97巻では小五郎から通報を受けた長野県警の元に教会で起きた事件現場の映像が送られてきます。

映像の中に安室の姿を見つけた高明がスマホの送り主が弟の旧友である降谷だと気づいたその頃、黒田から「聞きたいことがある」と大和に高明宛の電話がかかってきます。

長野への探偵旅行にラム同伴で活動することを知っていた黒田が急遽高明を協力者(降谷のことを伏せる)にしようとコンタクトを試みたのではないでしょうか。

安室は警視庁に事情聴取を受けに行った時に1年前伊達が死亡したと知った(または把握していた)ようですが、密かに荷物を回収してはいませんでした。

その後しばらくしてから伊達のロッカーから放置された荷物が見つかっているので長野県警への出向を終え、警視庁に異動した黒田が安室の報告を受け、見つかるよう手配したと考えられます。

安室が映像に映った理由

  • 高明にスマホが届けられた後だったので、いきなり事件現場で再会するより先に悟らせる必要があった→この場合、ラムに正体を隠したい意図があるのでごく自然。

一方で、景光と顔が似ている高明と脇田が出会うのを止めなかったのはなぜなのか。

大和もいたので、高明は署内に足止めして大和一人に任せることもできたはず。

考えられる可能性としては

  • 高明が自ら申し出た
  • 脇田が不審がることを見越して周囲に引きつけている

ベルモットが幼児化を隠したい理由

まず前提として、ベルモットは一人二役、その後シャロンの死亡偽装をしてそれ以降クリスとして素顔で生きていることを組織のメンバーに隠していると考えられます。

24巻で、ベルモットに対してウォッカが「あんたほどの有名女優が……」と言っていますが、母親としての顔が有名な大女優だったことを踏まえるとシャロンとクリス(ベルモット)が同一人物だと認識していれば、このセリフは少々違和感があります。

49巻の土門暗殺計画の時にキャンティもウォッカと似たような認識でした。

ベルモットは秘密主義とみなされているので、組織の中でも不老を知られていないのではないでしょうか。

19年前?シャロンは不老になり、それを隠すために老けメイクを開始。
偽の娘をでっちあげてクリスとして活動。
数十年前から不老になっている可能性も否定できませんが、有希子が女優になりたてのころに黒羽盗一の元で共に特殊メイクを学んでいたことを踏まえると、不老になったのが19年前であれば自然ではないでしょうか。
1年前シャロン死亡偽装。
老けメイクをやめて素顔でクリスとして過ごす(〜現在)

24巻の杯戸シティホテルの一件(呑口議員とピスコ死亡)の後、ベルモット(クリス)は休業宣言をしていますが、元々頃合いをみて休業するつもりだったと考えられます。

歳を取らないので何世代にも渡って親子だと偽装するのは常に変装するか素顔を整形でもしない限り困難。

コナンを見て新一の幼児化の可能性に行き当たり、調査のために休業を早めたのではないでしょうか。

もちろん命を狙ったのに助けてくれた恩義がある蘭と新一を死なせたくなくて、幼児化のことを組織には隠してる可能性はあります。

しかし、42巻で「長い間待ち望んだ」と考えていたところを踏まえると、新一の存在抜きに以前から組織の目的を達成できないよう阻害したい意思があったと考えられます。

わざわざ組織に幼児化がばれないように灰原を狙っていて「殺る(やる)のはバーボンだから」と「シェリーは諦めてあげる…」という新一との約束を破っています。

灰原がいないと新一は元の身体に戻れなくなる可能性があり、それについてベルモットがどのように考えているのかはわかりませんが「シェリーがバーボンに発見された」ので優先事項が一時変わったと考えられます。

ウォッカに頼んで爆弾を借りてまでバーボンにシェリー殺害を仕向けたのはシェリーを映像で確認したバーボンにシェリーが死んだと確実に思わせる必要があるからです。

ベルモットがシェリーは生きていると知っても深追いしなかったのはバーボン含む組織にとってはシェリーが死んだとみなされたからということになります。

その証拠に、78巻では「いつまであの探偵(小五郎)とつるむ気なの?」「キールの一件でシェリーとかかわっている疑いのあるあの探偵に張り付きたいって貴方が言うから色々サポートしてあげたけどもう用はないんじゃない?」と暗に幼児化しているコナンへの接触を嫌がっています。

ジョディに対し、証人保護プログラムを「馬鹿げた制度」と言ったのは不老を誤魔化すために別人になりすまして苦労した自身と重ねて自虐していたのではないでしょうか。

NY編当初は「神様なんてこの世にいない」と言い、さらに遡ると板倉とのやりとりでは「我々は神でもあり悪魔でもある」とも言っています。

超然的な力を手に入れた、あるいは手に入れようとしている組織に敵う者などいないと自虐的に捉えていた可能性があります。

それが蘭と新一に転落死しかけたところを助けられ「人を助けるのにわけがいるのか」と言われて感銘を受けたのだと思います。

蘭は自分の命を狙った人間を躊躇なく助け、新一は蘭の救護を優先して犯罪者を見逃しました。

裏切りや都合が悪い場合、死がつきものな組織の中で自分を偽りながら生きていたベルモットにとって二人は高潔に感じられたのだと思います(コナンは楠田をトリックに利用して自責の念も感じていないので、二元ミステリーまでの描写は台無しになりましたが仕方がないのでそれまでの描写を前提にしています)

ベルモットは組織から足を洗いたいのではなく、自身の人生に終止符を打つには組織の目的を達成させずに壊滅させる必要があると考えているのではないでしょうか。

ベルモットの方が一枚上で、コナンを出し抜きましたが、コナンは自身の命を懸けてボスのところに案内させようとしていました。

幼児化して人生が変わってしまった新一が希望を捨てずに閻魔のように罪状を並べ立てて必ず監獄に送る意思がまだあることを知って、組織を倒すシルバーブレット(=銀の弾丸とは魔物を一発で倒すことができるという武器のことを意味しています。もう少し比喩的にいうと、二元の話を読む限りは「一撃で相手を葬る」という意味だと推測)になれるかもしれないと考えているのだと思われます。

そのため、ベルモットはコナン(新一)を指して「シルバーブレットはもう一発(ある)」「シルバーブレットは二発もいらない」といった表現をしています。つまり、ベルモットは新一を高く買っているというわけです。

ベルモットは組織に黙って活動しており、コナンから離れる必要があったのと手負いだったのであの場で終わってしまいましたが、いつかコナンに協力(降伏)または間接的に手助けするのではないでしょうか。

組織が幼児化状態のシェリーを見つける時はコナンと蘭の命が危ぶまれる時でもあります。

尚、ベルモットが過去に灰原の頼みに対して「FBIのその女以外は助ける」と言ったのはジョディが不老について知っているため(それだけは口止めしたいということ)だと思われます。

結局、指紋以外の証拠がなく、FBIは一旦手を引くことになったため、ベルモット個人ではFBIを深追いしてはいませんでした。

なぜピスコは命令に従ったのか

灰原は研究を進めていたのにもかかわらず、ピスコは組織の命令通り灰原を始末しようとしていました。

さらにジンに対してピスコはシェリーの居場所の見当はついていると話し、命乞いをします。

どうして組織の研究を進めていたはずの灰原を始末しようとしていたのか。

宮野博士の理論を踏まえ、宮野夫妻が組織とは関係なく独自に研究していた薬が幼児化と関係ある場合を除き、不自然な行動ではないでしょうか。

組織の研究の進捗

灰原は蘭に正体がばれかけていたコナンが感情に流されて全てを打ち明けたりしないよう釘を刺すために作り話をしていましたが、この時「自分が抜けて研究が滞っている」と例を出していました。

研究規模次第では灰原の後任者が活躍している可能性もありますが、18年前に死亡した両親の研究を引き継ぎ、薬を復活させた組織有数の頭脳を持つ灰原を生かしておく方が自然にも思えます。

少なくとも、組織に灰原の幼児化を報告後に指示を仰いでから始末するのが順当ではないでしょうか。

となるとやはり、組織の命令(=あの方の命令)であり、ボスの烏丸蓮耶は研究の進捗よりはシェリーの始末を優先的に考え指示を出していたのでピスコはそれに従っただけだと考えられます。

→追記。

ラムのねらい

ラムは瞬間記憶(フォトグラフィックメモリー)という見たものを瞬時に、正確に記憶する能力を持っていました。

17年前の時点で加齢のためか、すでに右目はその能力が機能しなくなっており、必要な際は左目だけ使用していましたが、のちに左目も義眼となっています。

しかし、薬(おそらくAPTX4869)を使って右目の時を戻す考えもあるようなので、もしかするとラムはシェリーを必要としていた可能性も考えられますね。

バーボンが立てていた「生きたまま組織に連れ戻す」という計画にラムが関与しているのかが気になります。

ベルモットの動き

前提としては展開次第のため、今のところの予想なのですが。

FBI連続殺害事件の前の話では、ベルモットがラムに依頼されて優作の調査をしていたことが判明しました。

その際「いつでも殺せる」と話しています。

尾行が有希子にバレていたことや最終的にコナンに変装がバレた(キッドが別で活動する日を選んでやってきたと思われる)ことからも、どこまで本気かはわかりませんが、いよいよ新一と蘭の身に危険が迫りつつあるため、幼児化がバレないように以前失敗したシェリー抹殺をもう一度試みる可能性があります。

加えて、バーボンに秘密裏でシェリーを始末するチャンスができたことになります。

ミストレ降車後の時点ですでにそういう状況でしたが、組織にシェリーが死んだと思われたから再び保留していただけで、組織がシェリーの周辺を嗅ぎ回ることになるのであれば方針は変更されるとみていいと思います(ミストレの再来)

それだけでなく、今後安室(降谷/バーボン)が灰原の正体を見抜いて接触する場合、ベルモットにNOCであることがバレる可能性もあります。

ベルモットと安室は密約を交わしているとはいえ、その信頼関係は強固とはいえません(※ミストレ参照)

バーボンがNOCだと勘付いた時点で、コナン=新一を立証するのは指紋を調べる、ラムがFBI連続〜事件や過去の組織とコナンの関わりを推理で突き止める以外ではかなり難しいため、先にシェリーをこの世から葬り去れば秘密をリークされること自体が弱味でなくなる可能性もあります。

そして、新一を守るために「組織からの逃亡を手助けしたり、杯戸シティホテルでシェリーを救ったのはバーボンである」と思われるように仕向ける可能性もあります。

猫の鳴き声

板倉とのやりとりの最中「猫の鳴き声が次第に大きくなって女は少々焦って電話を切った」ことについて

SDB BLACK+の情報を踏まえると「ボスが近づいてきた」ことが原因だと考えられます。

重要なのは「猫の声」ではなく「焦った」ことにあると思います。

  • 過去に作中外で語られている組織のイメージは「カポネ」「猫を撫でている」
  • FBI捜査官のジェイムズが出身地のシカゴについて言っていた「カポネのいた街」
  • SDB BLACK+でボスについて「猫を抱いた人物」と触れられています。

連絡先のメモを残された板倉側からの連絡のため、タイミングについては予測不可能です。

たまたまボスがやって来るタイミングで連絡が来て慌てたのではないでしょうか。


78巻で有希子はベルモットに色々と疑問を投げかけています。

  • 「シャロンの仲間、知らないんじゃない? 新ちゃん(新一)やあの子(灰原)が幼児化してるって事…」「捜査対象を小学生に絞れば見つけるのは時間の問題なのに…」
  • 「新ちゃん言ってたわよ…」「薬で幼児化してる事を隠す理由があなたに何かあるんじゃないかってね…」
  • 「それと…板倉卓…」「知ってるでしょ? 映画の特殊効果に携わってた、私達女優にはお馴染みのCGクリエイター…」
  • 「シャロンが彼に何かのソフトを発注したみたいって新ちゃんに聞いて驚いたわ…」「シャロンと彼、ある映画でぶつかって犬猿の仲だったって役者仲間がもらしてから…」
  • 「スタッフ思いのシャロンがあんなに激昂するなんて珍しいって…」
  • 「シャロンの事だから彼への依頼の電話は声を変えてたんでしょうけど…」「そうまでして発注したソフト幼児化を隠す訳と何か関係があるのかしら?

目を患ってソフト開発をやめた板倉とテキーラの交渉が決裂した後、ベルモットが組織を出し抜いてソフトを手に入れようとしていた(=なのでボスが近づいて焦った)のではないかと以下(※)のように考えてもみました。

※過去にとある現場で板倉とシャロンが口論になったのはそのソフトが関係していて、その時は目を患う前だったので開発中のソフトについて揉めた→その後目を患って断念した→テキーラと接触した際断る→ベルモットが組織に依頼される前にソフトを横取りしようとする。電話中あの方が近づいてきたので慌てて電話を切る→再度組織が交渉(連絡方法がメールになる)→取引はするが思い悩んで再び断念。

しかし、ベルモットの話している内容や組織が接触した期間を考慮しても矛盾があり、根拠には乏しいため、新情報が出たら見直しますが、今のところは単純に「ボスが近づいてきたから少々焦った」という予想です。

シャロンがスタッフ思いの人間であるという人格を作っていただけで、大したことない理由で板倉ともめた可能性もあります。

組織の目的

時の流れに逆らって死者を蘇らせる

世間では死んだとされていたあの方の若返り」ではないでしょうか。

前述の通り、烏丸は延命して長寿になっていると考えています。

その烏丸が全盛期まで若返るために薬を開発させている。

若返ることができるのなら不老長寿、不老不死と似たようなもので、病死の可能性を除けるのならアクシデント以外は無敵。

不老不死が目的ではないことは公式で明らかにされていますが、若返りならまるっきりハズレでもないのではないでしょうか。

人間のために断念したソフト

CGクリエイターの板倉卓が目を患ったので開発を断念したことを踏まえると、視覚と関係あるソフトだと考えられます。

根拠には乏しいのですが、精巧な3DCGを使ったソフトではないでしょうか。

たとえば、

本物と見紛う人物や場所の映像を使って世界の情報を撹乱する。

  • 実在する人物→情報を発信したり、交渉を行う
  • 実在する場所→爆破などで事故や紛争が起きていると混乱を招く

といった企みがあり、優秀なコンピュータープログラマーの情報もソフトが完成した暁にはそれを運用するために必要だったのではないでしょうか。

薬とソフトに直接の関係はなく、あくまで若返ったボスが行いたいことなのではないかと考えています。

しかし、前述の目的であれば板倉が人間のために開発を断念したのに依頼者の用途がわからないことの説明にはなっていません(新情報が出たら適宜見直したいと思います)

結局ソフトは未完成のままでしたが、組織は完成していても板倉を消すつもりであったことからみても重要な秘密であったことは確かです。

未完成のソフトを手にした組織が現在何をどうしようとしているのか、板倉の死亡情報の後になりすました相手が何者なのか気にしているのかといったことが今後明かされるか気になります。

今後触れられるとしたら

日記の中に書いてある板倉が参加した「プログラマー同士の懇談会」が鍵になるかもしれません。

日常事件から発展するかはわかりませんが、若狭がハッキングに長けた人物なのであれば何か情報が出てくる可能性もあります。

あるいは阿笠博士かメアリー経由でしょうか。

博士は過去にゲームを作っているので、今後ポロッと話が出てきてもおかしくはないかもしれません。

板倉の日記を読んでいる博士は思い当たることがない様子ですが、これからの話でなら新情報はあるのではないかと期待しています。

No.2の顔も知らない組織メンバーのあの方や組織への忠誠心

スカウトされてる人を除き、灰原のように幼少期から組織に育てられた人がコードネーム付きに多いからではないでしょうか。

半世紀前から計画して教育機関を所有していたのなら組織の構成員の見た目年齢層的にわからないでもないです。