サンデー感想

FILE1078「再現」

感想

シリーズ解決編。

安室と風見

中森警部と機動隊がまだキッドを発見できない様子を見て、風見は安室に相談。

「公安としてはどうしましょうか…」

「はい…了解しました…そのように対処します…。今、上から連絡があった…。これ以上キッドの件に介入するなと…」

「ま、まぁ、でしょうね…」

「どうやら中森警部が公安に確認の電話を入れたようだ!」

「じゃあ早く引き上げた方がよさそうですね…」

FILE1078

電話を切った安室と同時期にコナンが携帯を操作しているので、本当の電話相手はコナンだと思われます。

おそらく、風見(キッド)を一人にするよう提案を受けていたのではないでしょうか。

三人

コナンの誘導でその場を離れる中森警部と次郎吉。

この後、色々と相談したと思われます。

梓と風見

展示ケースの上に残されたカードの写真を撮影するために梓が現れたところを風見が止めに入ります。

キッド(風見)が断っているのが面白いです。

コナンと安室?

いつの間にかベンチに座っていたコナンと安室が推理を披露します。

明らかに見える位置なのに安室の顔が見えないようになっているので、ここで偽物か?とわかるようになっています。

トリック

やはり、キッドは展示ケースの上に偽のケースを設置していたようです。

白い塗料

偽物のケースと本物の境目がわからなくなるようぴったりと置くために手を添える必要があったので、風見だけ小指と薬指の内側から小指球にかけて白い塗料が付着していたらしい。

納得いくようなそうでもないような。

両手じゃなくて片手をピックアップしていたこともあってこれが一番わかりづらかったです。

新メニュー

カルボナーラは別名「炭焼き職人風パスタ」なので、梓さんも安室もカルボナーラのことを指していたとのこと。

それはいいとして、名前はあまり長くないですね。

現場

アイドルフェスのことをファンたちの間では「現場」と呼んでいて、キッドは引っ掛けられたようです。

確かにアイドルファンがイベントのことを現場と呼ぶ例は知っていますが、盲点でした。

救出

風見はトイレの用具入れの中から発見されたようです。

可哀想なので、もっと清潔なところに入れてあげてください……。

200名余りでキッドの捜索にあたるより、誰かが捕らえられていないか探す方が効率いいような。

移動

ワイヤー(?)のついたトランプ銃を遠くの壁に撃ち放ったキッド。

仕掛けの電源が入れられていたことを逆手にとり、キッドは本物の展示ケースの蓋に触れてティアラを手に入れ、天井を落下させます。

一同は辛くも退避。

トランプ銃を放ち、壁面を伝って移動していたところにコナンが蹴ったサッカーボールが飛んできます。

「正直…公安もいたからもっと手こずると思ってたけど…拍子抜けだぜ!!」

FILE1078

安室とキッド

屋上まで逃げおおせたキッドでしたが、そこには機動隊に扮した安室の姿が。

「やっとお逢いできましたね…月下の手品師…いや…令和の魔法使いさんでしたっけ?」

FILE1078

敢えて「月下の奇術師」や「令和の魔術師」とは言わない安室が面白いです。

やはり、風見は警備配置の確認中に入れ替わられてしまった模様。

その時に警察手帳も見られてしまったようです。

前回の言動を踏まえると、安室はそれを見越していたような気がします。

帰らせようとせず風見に指示して、キッドに勘繰られる可能性を考慮したのかもしれません。

とはいえ、ガスマスクを装着する必要がある時点で安室か風見しか変装対象がいませんし、元々キッドも誰に変装するか読まれやすいことには気づいていそうですが。

コナンと展示室にいたのは安室に変装した風見でした。

変装はファンデーションとカツラで簡易なものでしたが、声が同じだったのでさすがのキッドも気がつかなかったようです。

探偵バッジ

コナンの探偵バッジで、安室本人の声を風見に貸していた帽子のつばの裏に取り付けたスピーカーに飛ばしていたとのこと。

探偵バッジの存在は「探偵たちの夜想曲」(76巻)や「灰原の機嫌」(94巻)で安室も既に知っていました。

はっきりと触れられていませんが、スピーカーもコナンのものということでいいのでしょうか。

(読者視点では)眠りの小五郎について見抜いていると思われる安室です。

すでにチョーカー型変声機や蝶ネクタイ型変声機の存在を知られているので、ミステリートレイン編で対面した宮野志保がキッドの変装であると気づくのも時間の問題だと思います。

キッドとコナンのつながりについてはラムがベルモットにした調査依頼の件を知っていたり、ベルツリー急行にキッドと組織の両方がいたことを考えれば、推察は可能ではないでしょうか。

公安のドルヲタ

「一応、風見の為に言っておくと…堅物だった彼がアイドルにハマったのは毛利小五郎を探らせていたその過程で沖野ヨーコに出会ったからで…」

FILE1078

全然フォローになってないんですがそれは(笑)

というのはさておき。

やはり、沖野ヨーコサマーライブプレミアシートのチケット(猫の大尉の飼い主がポアロを訪れた3人の内の誰か突き止める回で安室が小五郎に渡したもの)は風見が用意していたのでしょうか。

調べる内に関心を持つようになったというのはいたって自然ですが。

メタ的に説明を入れたということ以前に、通常であればこんな内情を明かす必要はないことを踏まえると、安室は敢えてキッドの警戒を緩めるために話したとみてもいいのかもしれません。

ティアラ

一方、キッドはティアラを月に向かって翳していました。

この時、パンドラではないことを確かめたようです。

ミステリートレイン編での対面

「君のその感じ…どこかで会った気がするんだが…」

FILE1078

このセリフについては意味深ですね。

ほぼ勘なのか、それとも察しはついているのか判然としません。

ちなみに99巻「強いのは…」でも似たようなセリフがありました。

「その灰原哀って子…以前どこかで会った気がするんだけど…」

FILE1054

安室の質問に対し、キッドははぐらかします。

「さぁ…覚えてねぇな…。女の子の顔なら忘れないんだけどね…」

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「女の子」と言っているのは、もしかすると安室への遠回しなヒントのつもりかもしれません。快斗(キッド)のキャラ的にも自然ではあるのですが、二重の意味ととれる気も。

女の子としては対面した、と。

今回、安室とキッドの両方が「どこかで会ったか」については博物館の列ではないと互いに認識していることが重要ではないでしょうか。

ティアラ返却

キッドはティアラを返してハンググライダーで去っていきました。

安室も深追いする気はない様子。

宅配物

後日、風見の自宅に安室からお詫びのためか沖野ヨーコのCD、カレンダー、写真集、まだ発売前の先日のフェスの円盤が送られてきました。至れり尽くせり?

しかし、ファン心理としては生で歌が聞きたかったと嘆く風見。

今後、フェスの埋め合わせのために風見がヨーコちゃんのコンサートに招かれることもあるかもしれません。

フェスの円盤は小五郎に頼んでヨーコちゃんに融通してもらったのか気になりました。

過去にはキールがヨーコちゃんを通じて小五郎に接触を図ったことがありましたが、個人的な理由(瑛祐の保護が目的)でした。

キールがアナウンサーとして活動していたので、組織はメディア業界にコネを持つ可能性が高いですが、安室が風見を使って小五郎を調べさせていたことを踏まえると、組織のコネを使うことは考えにくいと思われます。

少々意外だったのは風見が小五郎を調べていたことです。

映画の設定を多少拾った形なのかもしれませんが、バーボンとしてだけでなく公安として小五郎を調査していたことがはっきりしました。

まあ、小五郎に接触する前の下調べとして風見に協力してもらっただけかもしれませんが、この場合は組織内のコネを使ってもいいとは思うんですよね。

ベルモットと同様にバーボンも秘密主義なので普段から組織の中でそれほど目立つ行動はしていないのかもしれませんが。

新シリーズ

しばらく休載を挟んで46号から連載再開です。

新シリーズはどのような話になるのでしょうか。

新シリーズの内容がどうあれ、灰原がラムとニアミスしているので、再び休みがちになり帝丹小学校へ通学するのが困難になるのではないかと思われます。

前シリーズ、レストランの一件では阿笠邸にいたようですが、おそらく休日のため参考にはなりません。

そろそろ世良とメアリーが動きだすか、あるいは灰原の様子を窺いに若狭がやってくるか、ですかね。

もしも阿笠博士が入院あるいは通院で灰原が世話する必要があれば、しばらく休んでも都合はつきそうですが。

おまけ

ニアミスを含め、これまでの安室と灰原の接近やシェリーあるいは灰原に関心を示していると思われる回について遡って挙げてみます。

  • 「探偵たちの夜想曲」(76巻)

コナンが誘拐され、居場所について蘭が「阿笠博士ならわかるかも!!」と思いつきます。

この時、安室は「阿笠博士…?」と関心を持っていました。

そして、コナンが発信機付きの探偵バッジを持っていることやそれを追跡できる眼鏡を阿笠博士が作って持っていることを安室は知ります。

※阿笠博士は生前の宮野夫妻と2、3度発明品の発表会で面識があります(39巻)

「はあ…せめて博士が灰原の父親の宮野厚司って科学者の事を知ってりゃーなぁ…」

「ん? ああ…宮野博士なら知っておるよ…。発明品の発表会で二、三度会ったかのォ…」

「学会から追放されたマッドサイエンティストを知ってんのか!?」

「マッドサイエンティスト? 気さくで感じのいい男じゃったぞ…。ワシの発明品も気に入ってくれとったし…。無口で何を考えているかわからなかったのは、彼の奥さんの方じゃったよ…。確か名前はエレーナとか言ったかのォ…」

「エレーナって奥さん外国人かよ!?」

「ああ…彼女がイギリスから日本に留学している時に知り合ったそうじゃ…。でも、まさか彼女が哀君の母親だったとは…」

(なるほど…どーりで、何かと日本人離れしてるってわけか…)

「そーいえば、彼は一度も自分が何を研究しているか言わなかったのォ…」

39巻「引きさかれた友情①」

その後、安室は小五郎が普段使っているパスワードをそれとなく聞き出していました。

※以前(24巻)コナンがジンの車に仕掛けた盗聴器とキールの靴底に偶然ついた盗聴器が同じものであったために、小五郎とシェリーの繋がりについて疑っていました(49巻)

その後、探り屋のバーボンが動き出したことがわかり(60巻)→FBI捜査官に探りを入れた銀行強盗事件(65巻)、毛利小五郎も居合わせたデパートジャック事件(67巻)→探偵として小五郎に接触(75巻)という流れです。

  •  「立体交差の思惑」(76巻)

誘拐されたコナンを追跡することになり、車で走行中に灰原は後ろからやってきた安室の気配に「組織の匂い」を感じ取りました。

車内ですれ違った時にお互い見ていなくとも、停車後に灰原は後部座席から安室の姿は遠目に視認できた可能性はあります。

ただし、組織内では対面したことのない二人なので特に気づかなかったと考えられます。

  • 「高木刑事からの贈り物」(76巻)

子供防犯プロジェクトのパンフレットのモデルとなった探偵団と警視庁に「立体交差の思惑」で起こした事故がやりすぎではないかと再度事情を聞かれたという安室が出会います。

「それより博士と灰原は?」という元太の問いに「やっぱ博士風邪みてーでよ…。灰原付けてビートルで家に帰らせたよ…」とコナンが説明していました。

実際のところは灰原の顔をパンフレットに載せるわけにもいかないので、博士の仮病でごまかして探偵団を送り届けた後は帰宅する手筈になっていました。

「僕も残念だよ…せっかく噂の阿笠博士に会えると思ったのにね…」(76巻)

  • 「自分の領分」(77巻)

ポアロにて、コナンたちが群馬のキャンプ場に行っている話を蘭から聞きます。

話の流れから「撮った写真のデータ、ウチのパソコンにも送るっつってたから後で見せてやるよ…」と小五郎から言われますが、蘭が世良との電話中に「うん。そう…阿笠博士のビートルで…色は黄色…。でもそんな事聞いてどうするの?」という言葉を聞いた後、何かを考えている様子でした。

  • 「灯火の孤影」(77巻)

探偵事務所に忍び込んだ安室は以前それとなく聞き出したパスワードを使って、パソコンにログインし、届いたムービーを盗み見し、シェリーの姿を発見しました。

  • 「ミステリートレイン〔一等〕」(78巻)

この時の灰原は変装して車内にいたベルモットの方を見ていて、安室の方も蘭たちと会話中。

この時点の安室はシェリーと接触するのが目的のため、子供たちの方はほとんど気にしていなかったと思われます。

  • 「ミステリートレイン〔排煙〕」/「ミステリートレイン〔終点〕」(78巻)

キッドを経由して、灰原と安室が会話。

仕組みとしては灰原が話す内容をキッドに伝えて、キッドがその場で声帯模写していたという形です。

  • 「工藤様方配達物」(80巻)

探偵団が宅配業者の冷凍コンテナに閉じ込められた時に助けた後、歩美から「じゃあさ、探偵さんも博士ん家でケーキ食べる?」と誘われました。

しかし「へー。ここが噂の阿笠博士の…。でも今日は遠慮しておくよ…。用もあるし」と断っています。

これまで「噂の阿笠博士」と言って興味を示すも、ミステリートレイン編で接触を図ったりはしていなかったことから、元々は警視庁で宮野志保について何か知っているか確かめようとしたのではないでしょうか。

阿笠博士は宮野厚司と2、3度面識があるだけでなく、厚司が実家を貸し出していた相手(友人)である出島デザイン事務所社長を訪ねて事件に遭遇しています(41・42巻)

宮野明美が出島デザイン事務所を訪問後、組織は盗聴と家探しをしていたとみられているため、その後しばらく経っているとはいえ阿笠が訪問していることを不審に思った可能性も十分考えられます。

尚、ミステリートレイン編の貨物車爆発でシェリーが死亡したのかどうか判然としないため、その後はいたずらに目立つことを避けて阿笠博士への接触は保留している段階だと思われます。

  • 「三毛猫の大尉」(82巻)

それより君達…もう一人いたと思ったけど…」と暗に宅配業者の冷凍コンテナに閉じ込められた時に灰原がいたことに関心を持っています。

それに対し、歩美が「哀ちゃんなら先に帰ったよ!」と答えています。

光彦や元太が「大尉を見に一緒にポアロに行きましょうと誘ったんですけど…」「急に用事思い出したとか言ってよ…」と説明したので、コナンは慌てて話を変えてごまかしていました。

  • 「ストラップを探せ!」(94巻)

会ってはいないのですが、ストラップ探しに協力することになった安室が光彦から見せられた写真に灰原の横顔が写っています。

帽子を被っていますが、顔は見えている状態です。

  • 「不気味な牧場」(99巻)

鳩山牧場に向かう途中のバスの中で接近。

灰原は帽子を目深に被って顔を隠していました。

  • 「光」/「強いのは…」(99巻)

コナンが探偵バッジで灰原と会話するのを聞いていた安室は「その灰原哀って子…以前どこかで会った気がするんだけど…」とコナンに探りを入れていました。

前述の通り、冷凍コンテナの件でもう一人いたと気づいているにもかかわらず、安室はコナンに質問しています。

コナンが「あ、あるよ! 宅配業者の冷凍コンテナに閉じ込められた時に安室さん助けてくれたでしょ?

あの時、あの子もいたのか…。いつも帽子を目深に被っているからシャイな子だなぁと思っていたけど…」

自分(安室)を避けていることに気づいている上で、その真意を知りたがっているのではないでしょうか。

安室が気を失った後、灰原も近くにいますが風見が安室を助け起こした時には少し離れたところにいたので顔は視認していないと思われます。

ミステリートレイン編以降のおさらい

ベルモットとジンが電話でこんなやりとりをしていました。

「ミステリートレイン? ベルツリー急行か…。あんな目立つふざけた列車にシェリーが乗るとは思えんが…」

「あら…だからこそのあえての選択なんじゃない? あの列車の客車は全て完全個室…。組織の目を盗んで関東から脱出するには絶好の移動手段だと思うけど?」

「だが、どうにも信じられんな…。シェリーが群馬の山奥に隠れ住んでいたとは…」

「ええ…その情報を入手したバーボンも同意見よ…。彼女が偶然接触した第三者にそう言っていただけだから確度は低いと…。でも、シェリーがその列車に乗るのなら狩り場としては最適だと思わない?」

「ああ…。途中下車さえ阻めば走る鋼の牢獄だ…。鹿狩りの如く恐怖で追い立ててやれば、自ら銃口の前にその身を晒すだろうよ…」

「わざわざ貴方にこの情報をリークした理由、わかるわよね?」

「その鉄の蛇が巣穴に戻るまで手は出すなって事だろ? まぁ、久し振りにお前の口からシェリーの名が聞けて嬉しいぜ…。女同士で妙な仏心が出たんじゃねぇかと案じてたんでな…」

78巻「ミステリートレイン〔発車〕」

安室はFBI捜査官の生死に関して世良の言質をとるために変装が可能なベルモットと組んでおり、ヘリで追跡していた組織内の仲間には作戦(シェリー発見、捕獲)について話していたと考えられます。

一方、ベルモットは以前に毛利小五郎を庇ったためか、ジンにずっと疑われていたようです。

ベルモットはコナンとの約束を思い出しながら「でもね…殺るのは私じゃなくバーボン彼女だけはこの世にいてはならないのよ…」と考えていました。

当日、ベルモットからのリーク情報を事前に聞いていたジンとウォッカは爆弾を設置した名古屋駅で待機していました。

「どうやらケチな殺しがあったようですが…ツキはこっちに向いてるようですぜ…兄貴…」

「ああ…。ノンストップであの鉄の蛇を我々の元へ運んで来てくれるんだからな…。たった今、ベルモットから知らせが入ったぜ…。シェリーを列車内で発見したってなァ!」

「じゃあ今頃ベルモットとバーボンはあの女を…」

「フン…。奴らがあの女を殺ろうが捕らえようがどうでもいい…。要はあの女が蛇の胃の中にいるか否か…。蛇に飲み込まれているのならシェリー…この名古屋がお前の終着駅だ…」

78巻「ミステリートレイン〔一等〕」

「馬鹿な奴らだ…。到着と同時にホームに仕掛けたC-4で吹っ飛んじまうとも知らねぇでな…。奴らの命を狙った犯行だと勝手に勘違いしてくれるだろーぜ…」

78巻「ミステリートレイン〔終点〕」

しかし、ベルモットがウォッカに頼んで爆弾を分けてもらったことを知り、再びジンは疑いの目を向けていました。

「それよりベルモットとバーボン…。どうやって列車から脱出するんで? 知ってるんでしょ? 爆弾の事…」

「さぁな…。俺の知った事か…」

「え? でもベルモットに聞かれましたぜ? C-4が余ってんなら分けてくれって…」

「何!?」

「何に使うか聞いたんですが…はぐらかされちまいやして…」

あの女…まさか…

78巻「ミステリートレイン〔終点〕」

一方、安室は宮野志保(に扮したキッド)とこんなやりとりをしていました。

「爆弾でこの連結部分を破壊して…その貨物車だけを切り離し…止まり次第…ヘリでこの列車を追跡している仲間が君を回収するという段取りです…。その間、君には少々気絶をしてもらいますけどね…」

78巻「ミステリートレイン〔終点〕」

SDBによると「仲間」とは組織の仲間のことらしいので、理由はどうあれ安室はジンやウォッカといった実行部隊のメンバーに対し、秘密裏に行動していたことになります。

安室はベルモットによって密かに貨物車に仕掛けられた爆弾の存在を知りました。

なるほどベルモットは是が非でも彼女の命を断ちたいという腹積もりか…)

78巻「ミステリートレイン〔終点〕」

もしも、組織の研究を進めたい派が存在し、それに幼児化現象を知らないバーボンが協力している場合、ベルモットがAPTX4869の開発の邪魔をしたいと考えているのを察している、といったことなのかもしれません。

たとえば安室が接触したのがキッドではなく本物であった場合、シェリーを回収後、解毒薬の効果が切れて元の身体に戻ってしまえば幼児化がバレてしまいます。

ベルモットはバーボン及び組織に幼児化を知られることを懸念し「シェリーはあきらめてあげる…」というコナンとの約束を反故にしたと考えられます。

バーボンを欺き、自らへの疑いを晴らすためにもシェリーの生死は問わないジンに敢えて情報をリークし、尚且つバーボンにシェリーの死亡を確認させるという手段に出たのではないでしょうか。

ベルモットはバーボンが連結を破壊した音が聞こえてから起爆装置を作動させ、貨物車を爆破したという認識でしたが、実際はFBI介入による手榴弾で連結部分が破壊されていました。

「ベルモットか…。悪いが彼女は僕が連れて…」

78巻「ミステリートレイン〔終点〕」

当初、安室は背後に現れた人の気配をベルモットかと思っていましたが、手榴弾が投げられたのでそれは撤回されました。

安室が連結部分を破壊した後に仲間がシェリーをヘリで回収するまでの間にベルモットは貨物車に仕掛けた爆弾の起爆装置を作動させるつもりであるため、ベルモットには手榴弾を投げる理由がありません。

名古屋駅で待機していたジンの元にベルモットから連絡が入ります。

「シェリーを殺した? 確かなんだろーな? ベルモット!」

「ええ…。貨物車ごと吹っ飛ぶ所をバーボンが見てたらしいから…。お陰で列車は近くの駅に停車…。私達乗客は下車させられて、これから個別に事情聴取されるみたいだけど…。残念だわ…。名古屋で待ってる貴方に会えなくて…」

「フン…。だから爆弾か…。車内で爆発事故が起きればさすがに列車を停めざるを得ねぇからな…」

「ええ…。粉々になるのはシェリーだけで十分でしょ?」

78巻「ミステリートレイン〔終点〕」

爆弾を名古屋駅に設置しているのにどうやって車両から逃げるのかという疑問点が解消され、バーボンが貨物車の爆破を確認していたこともあり、ベルモットに対するジンからの疑いは晴れました。

しかし、急遽コナンから頼まれたキッドがシェリー(宮野志保)の姿に変装してバーボンに対面。

キッドは爆発前に退避していて、別の場所にいた本物のシェリー(灰原哀=宮野志保)も無事でした。

列車を降りたベルモットは灰原が阿笠博士におんぶされていたのを目撃したのと、コナンがキッドと電話している様子から全てを察します。

一方、安室はFBI捜査官死亡前後の詳細の情報についてベルモットに要求していました。

(どうやら一から調査し直す必要がありそうだ…)

78巻「ミステリートレイン〔終点〕」

つまり、FBIがシェリーの回収に関して妨害した可能性を考えていたと思われます。

前述の通り、毛利小五郎とキールが接触した一件から組織が毛利小五郎を狙った時にもFBIは妨害していました。

その場はベルモットのとりなしにより、FBIが毛利小五郎を利用していたということで一旦は手を引きました。

「まぁ今回の一番の収穫は、喫茶店ポアロでバイトしてた安室さんが黒ずくめの奴らの仲間のバーボンだってわかった事だな…」

「そーいえば彼はあれ以来体調不良で店を休んでいるらしいが…」

何でポアロのバイトだったのかは謎だけど…。もう戻って来ねぇんじゃねーか? ラッキーな事に灰原があの爆発で死んだと思ってくれてるみてーだし…。ノコノコ戻ってきたら、今度はこっちから探りを入れてやろうと思ったんだけどよ!」

78巻「スペシャルコーチ」

キールから報告を受けたジョディからバーボンという組織員が動き出したこと、おそらく灰原が狙いである可能性について連絡を受けましたが、以前にFBIと小五郎が繋がっていると思わせないよう小五郎の護衛を断っていたので、コナンは安室がポアロで働いていた理由に心当たりがありません。

後日、テニスコーチとして安室が現れた時、コナンは驚いていました。

(何で? 何でコイツがここにいるんだよ!?)

78巻「スペシャルコーチ」

蘭と安室のやりとりでさらに驚きます。

「でも大丈夫なんですか? 体調を崩されたって聞きましたけど…」

「ちょっと夏風邪をひいただけですよ! 週明けにはポアロのバイトにも復帰しますし…」

(なに!?)

78巻「スペシャルコーチ」

事件が発生し、コナンは安室の前での時計型麻酔銃の使用を諦め、会話を誘導して真相究明に協力することに。

(…さすがにこの男の前じゃ眠りの小五郎はできねぇか…。黒ずくめの組織の1人、バーボンだからな…。オレが組織の薬で幼児化してる工藤新一だってバレたら…いくらベルモットが何かの理由で黙っていたとしても…灰原も幼児化してるって事がバレかねないし…

78巻「謎解きの鍵」

しかし、安室は毛利小五郎の裏で手を引いているのがコナンだと確信していました。

「ええ…事件は解決しましたよ…。毛利名探偵のお陰でね…」

「あら、そう…。ところでいつまであの探偵とつるむ気なの? キールの一件でシェリーとかかわっている疑いのあるあの探偵に張り付きたいって貴方が言うから色々サポートしてあげたけど…。もう用はないんじゃない? 幸運にも偶然シェリーの情報が舞い込んできて…そのシェリーも葬る事ができたんだから…」

「いや、俄然、興味が湧いてきましたよ…。眠りの小五郎という探偵にね…」

78巻「謎解きの鍵」

純粋な黒の組織としてのバーボン設定時代のデパートジャック事件を差し引いても、警察官時代の小五郎の評判について調べていれば「眠りの小五郎」について元から懐疑的であったと考える方が自然です。

だからこそ、ウェディングイブ(75巻)で小五郎の推理力を試したのではないでしょうか。

血縁者じゃない限り…遺伝子情報のほぼ一致は、まずありえない事を踏まえると…そのDNAは同じ人物のDNAと考えた方が自然ですけどね…」

75巻「遺伝子情報」

「稀にあるんですよ…。2つに分かれる前の受精卵の染色体がXY(男)の場合、多胚化する際に一方のY染色体が欠落し、XY(男)とXO(女)に分かれ…異性一卵性双生児として誕生する場合がね…」

75巻「炎へと回帰する運命」

「…だとしたらその可能性は高いですね…。異性一卵性双生児の女性の方は、ターナー症候群で低身長になりやすいですから…」

75巻「炎へと回帰する運命」

安室は浮気調査依頼をきっかけに、初音と伴場が赤子の頃に同じホテル火災で助けられて、身元不明のまま同じ教会で育てられていたことを把握しており、初音が死を選んだ理由について、いち早く気づくことが可能でした。

「や、止めてください暴力は…。毛利さん彼の足を押さえて!! また殴りかかって来られたら…」

75巻「遺伝子情報」

「毛利! 何とかしてくれよ!!」

「そう言われてもなぁ……」

……

75巻「炎へと回帰する運命」

「そうか…。だったらお前は犯人じゃねぇよ!!」

え?

75巻「炎へと回帰する運命」

「では、思い出してください…。初音さんの車が炎上した時の状況を…」

……

75巻「炎へと回帰する運命」

つい先ほどまで店の外に出る(=アリバイ証明となる証拠がなくなってしまう)伴場を止めようとしなかったのにもかかわらず、コナンの介入によって急に小五郎が推理を始めたことで、様子見することになったと考えられます。

探偵事務所で起きた事件(76巻)の時点で安室は毛利小五郎の推理力について十分判断できたと思われます。

「どうしてそんなに切れる探偵なのに、父の弟子なんですか? どう見てもあなたの方が…」

「毛利先生はああやって悩んでいるフリをされていますが、実はもうほぼ真相を見抜いておられて僕を試してらっしゃるんですよ…。この前のDNA事件の時もそうでしたし…。さっきの拳銃自殺も僕が偉そうに推理を披露したが為に起きてしまった悲劇…。先生ならもっとうまく対処したはずです! 僕なんてまだまだですよ!」

76巻「探偵たちの夜想曲」

蘭を煙に巻くために謙遜していますが、回避することは困難だったと思われます。

  • 初音の死亡をくい止めるということは、2人が双子であることを隠すしかない
  • 事務所を素知らぬフリで完全に退避→仲間の居所を聞き出した上で強盗犯死亡

どちらにせよ、救いがありません。


「あの少年とこの家の家主の工藤優作がどう言う関係かはまだわかっていませんが…」

85巻「緋色の尋問」

しかし、コナンが何者かは知らないようです。

「あとさー…変な事聞くけど…RUM(ラム)って知ってるよね?」(97巻)

一体君は…どこからそんな情報を…」

「会った事あるの?」

「どう答えたらいいか悩むよ…。会った事があると答えれば君は僕がかかわっている人達に探りを入れ始めるだろうし…会った事ないといえば僕や君に近づく人達を必要以上に警戒するだろ?」

「そだね…」

「どの道、僕にメリットはないけど…ヒントとして君に言えるとしたら…その人物はとてもせっかち…ってことくらいかな?」

97巻「泣く子も眠る」

上記のやりとりから、優作たちとのお茶会で新一=コナンに関しては話をしていないことがわかります。

コナン=新一だと知っていれば情報の出どころについて気にする、ということと矛盾します。

知っていればむしろAPTX4869を投与された新一の生死が疑われている状況で、新一本人の耳に入れない理由がありません。

事件を共に捜査せず、遠ざけるのがベターです。

「おや、お2人さん…。随分仲がよーござんすね」

うん、まーね!

でもまぁ…たまに毛利先生の探偵事務所で顔を合わせる程度ですけど…」

「…にしてはべらぼーに親密なコンビに見えやしたぜ? 眼鏡の童子は結構頭が切れそうだし…」

「毛利先生を見て探偵の真似事をしてるだけ…所詮子供の浅知恵ですよ!」

「へぇー…。けど、そいつは将来が楽しみでやんすねぇ!」

98巻「兄さんみたいに」

安室はコナンのことを部外者だがFBIの協力者で、頭が切れる少年だと解釈しているのではないでしょうか。

そのため、脇田(ラム)がコナンに関心を示した時にごまかそうとしたと考えられます。

「生前、その男が手に取ったというある少年の携帯電話に付着していた指紋と一致し、死んだのはその男だと証明されたんです…」

「その男を撃った女とグルだったんでしょうから…恐らくその女の車にこっそり乗り込んで逃げたんでしょうね…」

85巻「緋色の尋問」

以前、キールから「RUM」と書かれたメールがFBIの元に送られてきました。

FBI連続殺害事件の作戦にキールは参加していたので、組織の「大事」に関してキールの元に何らかの情報がもたらされている可能性があります。

その上で、FBIへ警告していたのではないでしょうか。

「大事」はやはり、毛利小五郎と浅香の始末だと思います。

小手調べとして、日本国内にいるFBIをつついてみたのではないかと。

浅香(若狭?→※確定済)がFBIと無関係であれば当然動きはなく、組織(ラム)は次に若狭と小五郎に接点がないか調べることになると思います。

コナンの副担任が若狭だと認識次第、脇田がコナンに接触を図るのではないでしょうか。

「暗号の理由」(99巻)の時、すでにそのつもりであればコナンは上手く躱せたようにも見えますが、今後はわかりませんね。